買ってよかったかと聞かれたら、「まあそこそこ」と答える。110円でこれが手に入るのはふつうにすごいことだと思う。ただ、万能じゃない。その「そこそこ」の中身を書いておく。
セリアで見つけたとき、最初は半信半疑だった

駅前のセリア、中規模くらいの店舗。画材・文具コーナーの棚の、端っこのほうにあった。最初は完全に素通りしかけた。「あれ、デッサン人形?」と二度見して、足を止めた。
パッケージはブリスター包装。木製の小さな人体模型が中に収まっていて、高さはざっくり20cmくらい。その日は男性型しか棚になかった。女性型もあるらしいとは聞いていたけど、たまたま在庫がなかったのか、この店には置いてないのか、そのへんはよくわからない。値段は110円。
「ダイソーにも似たやつなかったっけ」と思いつつ、とりあえず一個だけ買った。
帰りの電車で開けてしまった

袋から出したのは電車の中だった。やることない時間にやりがちな行動。
木の手触りはそこそこ滑らか。でもパーツの接合部を触ると、ところどころ荒さが残っている。手首のボールジョイントを動かそうとしたら、最初は「固っ」となった。無理に力を入れると壊れそうで、少し慎重になった。
関節の動きは、ざっくりこんな感じ。
- 頭:左右・前後に回る
- 首:ほぼ動かない
- 肩:ボールジョイント、わりと自由が利く
- 肘:曲げ伸ばしのみ、90度くらいまで
- 手首:回転する
- 腰:前後左右にある程度動く
- 股関節:ボールジョイント
- 膝:曲げ伸ばし
- 足首:ちょっとだけ動く
膝と肘の可動域が思ったよりずっと狭い。体育座りみたいなポーズを作ろうとして、膝が途中で止まって詰んだ。足を組む・しゃがむあたりも、正確な再現はかなり難しい。
実際に絵を描くときに使ってみて

最初に試したのは「腕の角度の確認」だった。
自分はよく、肩から腕がどう出ているかで迷う。少し前に出しているだけで印象がけっこう変わるのはわかってるんだけど、参考にできるものがないと手が止まる。人形でポーズを作って机に置いて、そのままスケッチした。これは普通に使えた。肩の自由度は高いほうなので、「腕を斜め前に出す」「片腕だけ挙げる」くらいの基本ポーズなら問題ない。
光の当たり方の確認にも使えた
意外と助かったのが、陰影の確認。デスクライトを斜めから当てて、どこに影が落ちるかを観察した。筋肉の凹凸は省略されてるから完璧じゃないけど、影の方向をざっくり把握するには十分だった。顔まわり——鼻の下、あごの下、目のくぼみあたり——は特に参考になった。
複雑なポーズになると話が変わる
戦闘ポーズ、極端な前傾姿勢、片足立ち。このへんになると一気に苦しくなる。
片足立ちはそもそも自立しない。このセリアのやつにはスタンドが付いていなかったから、床に寝かせた状態でポーズを確認するしかなくて、それが地味に見づらかった。スタンドなしで買うなら、最初から「立たせる系のポーズは無理」と割り切る必要がある。
手と顔の造形、正直なところ

手は「指が5本あること」はわかる。でも指を一本ずつ曲げることはできなくて、手のひら全体がひとつのパーツとして固定されている。「持つ」「握る」「指差す」みたいなポーズの参考には、これ単体ではちょっと物足りなかった。
顔も、鼻・口・目の位置関係がかなり単純化されている。「顔の向きと視線の方向を確認する」くらいの用途なら使えるけど、表情の細かい参考にはならない。最初からそういうものだと思っていれば気にならないけど、期待値が高いとがっかりするかもしれない。
使い続けて気になってきたこと

数週間使っていると、関節がだんだん緩んでくる。
最初「固い」と思っていた肩のボールジョイントが、いつの間にかゆるゆるになっていた。腕を上げてポーズを決めて手を離したら、ストンと落ちた。地味にストレスだった。
対策として、ボールジョイントに木工用ボンドを薄めたものを塗るという方法をどこかで読んだ。自分はまだ試していない。試したらどうなるか、ちょっと気になってはいる。
あと木の表面が乾燥してきて、ざらつきが出てきた。見た目の問題だけど、これも気になると言えば気になる。
ダイソーのやつと並べてみた
同時期にダイソーでも似たような人形を買った。たしか220円だったと思う。
並べてみると、ダイソーの方が若干大きい。決定的な違いはスタンドの有無で、ダイソーにはスタンドが付いていた。「どっちがコスパいいか」という問いへの答えは、正直「用途による」としか言えない。
自分は結局セリアのやつをメインに使っている。スタンドがない問題は、丸めたティッシュを足元に挟んで対処している。雑な解決策だけど、案外これで十分だった。
こういう用途には合うと思う

使ってみて「これは合うな」と思ったのは、こんなケースだ。
とにかく何か参考になるものが欲しいとき。 3Dソフトも写真集もない、スマホで検索しても欲しい角度が出てこない、そういうときに「モノとして机に置いて眺められる」のは地味に助かる。完璧な参考資料じゃなくて「何もないよりまし」を求めているなら、110円で十分元が取れると思う。
腕と肩の角度に悩む人。 ここの可動域は比較的優秀なので、「上半身の角度確認ツール」として割り切って使うのがいい。
逆に、複雑な全身ポーズをきっちり再現したい人、手の表現を練りたい人には、このクラスだと物足りなくなると思う。そういう用途には、もう少し値段を出した方がいい。
100円ショップのデッサン人形の代替品をAmazonと楽天で探す

セリアで在庫が見つからなかったとき、あるいはもう少し関節精度の高いものを試したいときのために、オンラインで入手できる近いカテゴリの製品をまとめておく。
| 製品名 | 関節数・可動域 | 素材 | 購入先 |
|---|---|---|---|
| デッサン人形 30個関節可動 ポーズ人形 | 30関節 | 記載なし | Amazon / 楽天 |
| October1st デッサン ドール モデル 人形 木製 | 記載なし | 木製 | Amazon / 楽天 |
| CHALAN デッサン人形 可動フィギュア | 記載なし | 記載なし | Amazon / 楽天 |
デッサン人形 30個関節可動 ポーズ人形
関節数が30箇所と明記されているのが特徴で、手首や足首まわりの細かい動きを確認したい場面に向いている。「関節が足りなくて困った」という経験があるなら、まずこのタイプから探してみるといい。
October1st デッサン ドール モデル 人形 木製
木製素材にこだわりがあるブランドで、素材感や質感を重視して選びたい人に向いている。セリアのものと同じ「木の手触り」を求めつつ、仕上げのクオリティに差を求めるなら候補に入る。
CHALAN デッサン人形 可動フィギュア
「可動フィギュア」という呼称が示す通り、フィギュア寄りの設計になっている。ポーズの再現性をより細かくコントロールしたい用途、たとえばアクションシーンや動きのある構図の参考として使いやすい。
最後に

「セリアのデッサン人形、どうでした?」と聞かれたら、「ちゃんと使えるよ、過信しないことが条件で」と答える。
110円に完璧を求めるのは無理だし、そもそも完璧なデッサン補助ツールなんてものは存在しない。でも「とりあえずデッサン人形というものを試してみたい」という段階なら、これで全然いいと思う。失敗してもダメージが小さいのが、安いものの強みだ。
今も机の上に置いている。毎回使うわけじゃないけど、「あの角度ってどうだったっけ」というときにさっと手に取れる距離感が、結局一番便利だった。
スタンドのなさだけは今でも若干後悔している。でもそれはティッシュで乗り越えている。
